ビールを知る&体験する
RESTAURANT & SHOP GUIDE
埼玉 ≫ 中国酒家 蘭亭
ベルギービールバーの名店出身者がおすすめする中華とベルギービールの感動ペアリング
埼玉県新座市の静かな住宅街に、「中国酒家 蘭亭」があります。一見すると地域に根付いた歴史ある中華料理店ですが、入ればそこは、50年の伝統とベルギービールの多様性が交差する不思議な空間です。都心の喧騒から離れたこの場所で、本格的なスパイスの香りと厳選されたビールの泡が、訪れる人々を日常の先へと連れ出してくれます。新座の街角に灯るこの小さなお店こそが、食文化の新たな地平を切り拓く、まさに探す価値のある一軒なのです。
INTERVIEW
インタビュー
石毛様
■ 取材日:2026年2月17日
■ 担当:石毛様
Q. 普段、ベルギービールのセミナーで「実はベルギービールと中華料理はめちゃくちゃ相性がいいですよ」とお話しすることが多いです。なので、こうしてそのペアリングを専門に掲げているお店に出会えて、本当に感動しています。中華料理店でベルギービール、とても珍しい組み合わせですね。
最初はお客さまも戸惑われていたのですが、今では常連さんを中心に「一杯目は生ビール(リーフマンスやヴェデットなど)から」というスタイルが定着しています。夜は特にコアなお客さまも多く、裏メニューとして用意している長いボトルリストを眺めながら、じっくりと選んでくださる光景も増えました。中華を食べながら多種多様なベルギービールが選べるというのは、当店ならではの自慢です。
Q. ベルギービールの種類が本当に豊富ですね!ベルギービールに魅了されたきっかけは何だったのですか?
18歳の頃、神楽坂にあるベルギービール専門店「BRUSSELS」でアルバイトを始めたのがすべての始まりです。それまではビールは苦くて飲めないものだと思っていましたが、そこで初めてフルーツビールに出会い、全く新しい世界を知りました。 また、銘柄ごとに専用のグラスがある文化にも感動しました。趣味でグラスを一つずつ集めたり、ボトルを買って勉強したり……。今の仕入れルートも、当時の関係者の方々とのご縁があったからこそ繋がった、大切な財産です。
Q. ブラッセルズといえば、日本のベルギービール界をずっと支えてきた名店ですよね。店主の素晴らしいセレクトの才能は、そこで磨かれましたね。貴店のインスタグラムを見るとフジロックフェスティバルにも出店されたそうですね。
はい、2024年と2025年に「汁なし担々麺とベルギービール」で出店しました。フジロックの担当者の方が、実際にうちの店で食べて決めてくださいました。山の中でのテント宿泊という過酷な環境での業務は大変でしたが、大自然と音楽の中で、私たちの担々麺と一緒に美味しいビールを楽しんでもらえるのは、本当に幸せな経験でした。あの激戦区にまた戻れるのは、本当に奇跡的なことだと思っています。
Q. 美味しいお話ばかりで、もう今すぐ食べてみたくて仕方がありません!まずは何から……おすすめの「中華×ビール」のマリアージュを教えてください。
個人的には「ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ(レッド・ビール)」が大好きで、中華料理とは最高の相性だと思っています。
- 酢豚 × レッド・ビール/ランビック・ビール: 酢豚には、熟成された酸味を持つレッド・ビールやランビックが完璧に合います。料理の甘酸っぱさとビールの酸味が重なり合い、お互いの美味しさを引き立ててくれます。
- 汁なし担々麺 × トラピスト・ビール(トリプル): 看板メニューの「汁なし担々麺」は、山椒を効かせた自家製ソースが特徴です。ここに「ウエストマール・トリプル」のような、重厚感がありつつもフルーティーなビールを合わせるのが私のおすすめです。
Q. うわあ、これは驚きました……!酢豚がすごく柔らかくて、ベルギーのカルボナードより柔らかくて、口の中でとろけますね。汁なし担々麺も絶品ですね。普段あまり麺類を食べないベルギーの友人たちも、ビールとの相性が本当に抜群ですから、これなら絶対にファンになるはずです!店主にとって、このお仕事の「一番の喜び」は何でしょうか。
お客さまがベルギービールの広大な世界を少しずつ好きになっていく過程を、一番近くで見守れることです。 最初は「苦いのは苦手だから」とホワイトビールやフルーツ系から入った方が、好奇心を持って新しい銘柄に挑戦し、いつの間にかトラピストなどの重厚なビールの魅力に気づいてくださる。そんな風にお客さまの世界が広がっていく瞬間に立ち会えることが、この仕事を続けていて本当に良かったと感じる時ですね。
Q. お客さまの世界が広がる瞬間を大切にされる想い、素敵ですね。「ベルギービールと中華は最高の相性だ」と常々お伝えしてきましたが、今日こちらでその確信がさらに強まりました。
パブや洋食の枠を超え、複雑なスパイスや旨味に寄り添うベルギービールの多様性は、まさにこのペアリングでこそ真価を発揮します。この見事なマリアージュを、一人でも多くの方に体感していただきたいです。本日はご多忙の折、素晴らしいお話をありがとうございました。
*掲載のメニュー及び取扱商品は取材時のものであり変更されている場合があります。
Signature Dish & Pairing
オススメ料理とペアリング
SIGNATURE DISH 1
酢豚 × レッド・ビール/ランビック・ビール
単なる定番の酢豚ではなく、口の中でとろけるような食感に仕上げられた真の傑作。これはドゥシャス・デ・ブルゴーニュと完璧にマッチします。一般的な酢豚のイメージを覆すほど柔らかいお肉は、ぜひ一度試していただきたい逸品です。
ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ 瓶330ml
Duchesse de Bourgogne
オーク樽熟成ならではの酸味とまろやかな甘みが、上質なワインのように調和します。
SIGNATURE DISH 2
汁なし担々麺 × トラピスト・ビール(トリプル)
ピリッとした刺激的な辛みがたまらない絶品の汁なし担々麺。 トリプルを合わせることで、深いコクと辛みが素晴らしいハーモニーを奏でます。 華やかなフルーティーさとコクが、辛みと絶妙なバランスで調和します。 汁なし担々麺の良いところは、麺が伸びにくいので、ビールと一緒に「おつまみ」感覚でゆっくりと召し上がっていただける点です。自分のペースで味わうには最適の一皿ですね。
ウェストマール・トリプル 瓶330ml
Westmalle Tripel
複雑な風味の調和と、驚くほどなめらかな口当たりが特徴で、「すべてのトリプル・ビールの母」と称されています。
このお店で飲めるビール

REPORTED BY KONISHI WRITER
シモン
ベルギーで生まれ育ち、比較的最近日本での生活をスタートしました。 故郷を離れて初めて、当たり前だと思っていたベルギーの「ユニークな文化」や面白さに改めて気づかされる毎日です。
自然の中で過ごす時間が大好きで、趣味はガーデニング。 ベルギー人ならではの視点で、まだ知られていないビールの奥深い魅力や、日常を彩る楽しみ方をお届けします。